製品の精度 [戦略]
担当させていただいている金型部品の製造をしていらっしゃる会社。 求められる精度は1/1000mm。
4人のベテラン技術者がいて、出来上がりのワークをそれぞれが独立して客観的に測定して、4人が報告してくる結果が全く同じであるという。
これって凄いことだと思う。
ゆえに納品レベルでの不良率ゼロの記録を更新中なのだそうだ。
稲盛和夫氏の説く『京セラ経営の原点12か条』の第4条に、「誰にも負けない努力をする」~地道な仕事を一歩一歩、堅実に、たゆまぬ努力を~ というのがある。
企業の文化を醸成する過程では、1日1日の変化なんて目に見えないぐらい小さいが、これを10年とかそれ以上続けていると他の追随を寄せ付けない高みに登っているものなのだということを痛感した。 ここまで来ると、この努力そのものが戦略行動であると言ってよいと思う。 脱帽。
高収益スーパーニッチャーへの道 [戦略]
日本実業出版社の月刊誌『月刊ニュートップL.』の4月号に、「高収益スーパーニッチャーへの道」という特別記事が組まれています。
ランチェスター戦略における私の師匠の福永雅文氏が書かれた記事で、小さい市場で高い市場占有率を獲得するニッチャー戦略をとっている中小企業の財務における優位性を統計分析しました。 昨年のランチェスター戦略学会で発表。 私は財務分析と、プレゼンテーションの全体構成を担当し、福永師と共同で発表しました。
詳しくは過去のブログ「ランチェスター戦略学会」や「深川にて」をご覧いただければ幸いですが、同業他社と比べて明らかに収益力において優位性が認められています。 有利な戦いの土俵を自ら創り出し、そこで優位に戦うという戦略は、やはり理にかなっていることが確認できます。
耐圧ホース国内シェア・7割の㈱トヨックス、コミック本の包装機国内シェア・100%の㈱ダイワハイテックス、そして手術用縫合針国内生産量の7割の㈱マニー。 これら3社の戦略のポイントも具体例として紹介されており、大変参考になります。
この月刊誌は本屋さんでは買えず、1年単位の定期購読となりますが、目下のところ師匠の記事も連載されておりますし、売れっ子コンサルタントの石原明氏や、吉越浩一郎氏等も記事を寄せておられ、なかなか読みごたえがありますのでご案内いたします。
ランチェスター戦略学会 [戦略]
先日の勤労感謝の日、23日に、明治大学のアカデミーコモンホールにてランチェスター戦略学会第3回研究大会が開催されました。
今年は光栄にも研究発表の場も与えていただきました。
なにせ聴衆は大学の先生方や大きな企業の幹部の方、経営コンサルタント等々と、うるさ型ばかり。 さすがに緊張。
でも、対論や質疑応答でも炎上することなく、この後論文にする際の良きアドヴァイスなど頂戴しながら、まあ、無事に役目を果たしてきました。
今年の研究テーマは、昨年に引き続き「市場シェアと利益は相関するか?」です。 で、昨年は上場企業を、そして今年は中小企業を対象に調査を行いました。 具体的には、スーパーニッチャーと呼ばれる製造業でなにかしら圧倒的な国内或いは世界シェアを誇っている企業31社89事業年度分の財務諸表を分析し、同業他社の平均値と比べ優位性があるのか、あるとすればどこにどれぐらい優位性が見られるのかを、統計分析し、検証したのです。
詳しい結果は、近い将来、研究チームのリーダーであるランチェスター戦略の伝道者で、わたしの師匠にあたる福永雅文氏の著作に掲載される予定ですので、出版されたらご紹介しましょう。
結論だけをまとめますと、「市場シェアと利益は相関する。」ことは間違いないという確証が得られました。ゆえに企業はシェアを追求すべきであると。 ランチェスター戦略は今もなお信頼して間違いなしなのです。
経営分析の良いトレーニングにもなりましたし、「儲かる」ことの意義を見直すよい機会にもなりました。 そして、統計学も少しだけかじることも出来ました。
朝9時半から夕方6時までの学会と、その後の懇親会を終え、今年の研究チームの3人で、神田駿河台の山の上ホテル(作家の吉行淳之介氏や野坂昭如氏らが愛した文化人のホテルとして有名)のバーで祝杯をあげ、なんとも言えない達成感で東京を後にしました。
<今年の研究チームメンバー>
チームリーダー福永雅文氏:戦国マーケティング株式会社 代表取締役、ランチェスター戦略コンサルタント、NPOランチェスター協会 理事・研修部長。
統計処理及び分析 玉居子高敏氏:弱者逆転研究所所長。埼玉県某市で保育園を3園経営。後発で市場参入するもランチェスター戦略を実践し短期間で地域ナンバーワンに。
<ビジネス下克上時代に勝つ!>ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則
- 作者: 福永 雅文
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2005/05/19
- メディア: 単行本
深川にて [戦略]
昨日17日は江東区の森下文化センターにて、ランチェスター学会の研究発表の準備を行いました。
新幹線を降り、三田線大手町駅から神保町へ、ここで新宿線に乗り継ぎ森下駅へ。列車に乗っていて自分の名字が連呼されるのはとても変な気分でした。
駄話はさておき、昨年は、「シェアと利益は相関するか」というテーマに取り組み、上場企業を調査し、見事に相関関係を見出すことが出来ました。
今年は対象を中小企業に替え、高シェアの企業の財務体質を調査しています。 現段階ではまだこの程度しかオープンに出来ませんが、極めて興味深い結果が出てきています。
約3時間、みっちり討議を加え、発表の方向性がしっかり決まったところで、今回はお開き。
今回、研究チームに名を連ねつつ、研究の方向性を導いてくれているのが、ランチェスター戦略における私の師匠にあたる 福永 雅文 氏です。 討議の後、師匠の案内で、ランチェスター戦略開発者の田岡信夫先生のお墓参りに。 森下文化センターから歩いて15分ぐらいのところの増林寺という曹洞宗のお寺です。 自分は神頼みをする習慣は無いのですが、田岡先生への感謝と、「頑張ります」という意思表明の意味でのお参りをしてきました。
ところで、この辺りはいわゆる深川。 江戸の下町情緒を残した良い雰囲気の街並みです。 道の途中、岩崎弥太郎の別荘跡の清澄園公園を始めとして、江戸から明治の歴史を感じられるスポットが目白押し。 ゆっくり時間を取って一人ブラタモリ風に歩くと面白そうです。
小一時間のお墓参りは適度な空腹感を誘ってくれます。 当然夕方からは打ち上げ。 福永師匠によれば、このあたりの名物は、どじょう、馬刺し、あさり飯なのだそうです。 で、研究チームの3人のオジサンたちはどじょうを選択。
自分ともう一人の玉居子(たまいご)研究員は初物。 75日寿命が延びると言います。 初心者はまず裂いて中骨とモツを取り除いたものが無難とのことで、裂いたどじょうの鍋でイッパイということになりました。 いやあこれが実に美味。 臭みも何も無く、残った鍋の汁で付け合わせのネギを煮込んでをご飯にかけて食べつくすという始末。 ご飯と共に頼んだどじょうの味噌汁も絶品。 こちらには裂いていない丸のままのどじょうがこんにちはしてましたが全然オッケー。 雑食性の悪食(あくじき)なのです。 今度は丸のままの鍋にも挑戦したいなあ。
ということで、研究も打ち上げも充実した一日でした。
*師匠の著作3冊 いずれもイチ押し・お勧めの本です。是非ご一読を。
<ビジネス下克上時代に勝つ!>ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則
- 作者: 福永 雅文
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2005/05/19
- メディア: 単行本
「儲かる」って [戦略]
11月23日、東京の明治大学アカデミーコモンホールで第3回「ランチェスター戦略学会」が開催されます。
実は、今年、研究発表を行うべく、準備を進めています。 並み居る大学の先生たちを前に企業の町医者たる実務家の自分が3人の研究チームを代表して発表するというのですから、光栄でもあり無謀でもあります。
詳しい内容は発表を待っていただくとして、ランチェスター戦略の基本的な考え方に、平たく言えば、「シェアが高いと儲かる」というのがあります。 昨年・今年と、実際の企業のシェアと利益の相関関係を統計的に分析する試みを行っています。
調査作業の過程において、「儲かる」っていうのはどういうこと? と何度も自問しました。
絶対的な金額を獲得すること? 利益率? 生産性? 採算性? それともストック? 福祉性?
考えれば考えるだけ「儲かる」の定義が出てきます。 置かれている立場の数だけ「儲かる」があるのかもしれませんし、一人でいくつものシチュエーションごとに「儲かる」があるのかもしれません。
我々はかなり明確にイメージができてきましたが、敢えて聞きます。 あなたにとって「儲かる」ってどういうこと?
TKC経営革新セミナー2010 [戦略]
毎年秋に開催しておりますTKC経営革新セミナーも、今年で8回目を数えます。
今回は、今春4月13日に緊急開催して絶賛を博した、㈱タナベ経営 取締役 ネットワーク本部長の中東 和男先生を再びお招きしてのアンコール講演という内容です。
演題は『中小企業生き残りの鉄則』 ~今、取り組まなければいけないこと~
先の緊急講演会で、自社の営業における攻撃量がまったくもって不足していることを痛感された社長も多いと思います。 また、圧倒的な実戦経験をもとに展開されるお話は具体例に富み、数多くの気付きを頂戴した記憶もまだ新しい今、さらに突っ込んだ視点からのお話を伺うことで、企業の皆様が元気を取り戻す起爆剤となれば幸いです。
このセミナーは、先生は勿論、参加される企業の皆様、そして我々中村会計スタッフの、「良くなるぞ!」という氣に満ち満ちたセミナーになります。 是非、そうした超プラス状態の場に御自信の身を置き、良い氣をもらって帰って下さい。 それだけでも経営に絶対にプラスになります。 お待ちしています。
社長の出身地 [戦略]
中村会計では東京商工リサーチさんのレポートを購読してしています。
9月30日号の記事の中で『全国 社長さんの出身地・出身大学調査』という特集記事がとても興味深かったのでご紹介します。
1.社長の出身地
上位から東京都、北海道、大阪、愛知、神奈川、、、、我が静岡県は第9位です。 この結果、考えてみれば人口が多いところに集中するのは不思議なことではありません。 そこで、次の調査が続きます。
2.社長の排出率
人口当たりの社長排出人数を比率で表しています。 これなら人口の多寡という条件が排斥されますね。
上位から、山形県、香川県、徳島県、大分県、秋田県、、、、、*静岡県は34位です。 各地方ごとの県民性や産業の歴史が垣間見られます。
3.都道府県別社長地元率
出身地で事業をやっている比率です。 個人的にはこの調査結果が最も興味深かったです。
上位から、沖縄県、愛知県、北海道、広島県、静岡県。 逆に地元率の低い方から、佐賀県、鹿児島県、滋賀県、山口県、長崎県。 トップの沖縄県の94.15%に対し佐賀県は65.03%と大きな開きがあります。
ランチェスター戦略の中の地域戦略を考える際、「うちもの」地域か「そともの」地域かという視点があります。 この調査の視点で換言すれば、基本的に地元からリーダーを擁立したいという心理的な力が働くのかのか、他地域出身者でも気にせず社長として迎えやすいのかと言えましょう。 もちろんこればかりではないのですが、社長になろうかという立場の人は、こうした地域性・県民性を知っておいて損はないということですね。
源義経 [戦略]
NHKの歴史秘話ヒストリアで取り上げられていました。
で、やはり結論は、義経は戦闘、戦術には長けていたけれど、政治家としての資質や戦略家としての資質には欠けていたというもの。 そして、その両方の点を兄頼朝はもちろん、京の公家や奥州藤原氏をはじめとした周囲もよく解っておったようです。 それゆえ上手く利用されたり、それがために兄に更に強い警戒心を抱かれたり。
ここに義経の悲劇の理由がある訳ですね。
人・物・金・情報といった経営資源が乏しい状況下で戦っていると、ついつい戦闘だけに明け暮れてしまうものです。 しかも、真剣にたたかっているこれでは、ごく一時的に成功をすることはあっても、長期的な継続・発展は望むべくもありません。 是非皆様には、「戦略」に強くなっていただきたいものです。
松阪といえば、、、 [戦略]
小学校4年生の娘の今年の自由研究が存外に面白く、テーマは『お肉屋さんの地域性』。
私自身は実は松阪市出身です。いまも両親・弟は松阪で暮らしています。
松阪といえば、言わずと知れた「松阪牛」。
この夏、松阪を訪れた際、地元でも名の通ったお肉屋さんに立ち寄った嫁と娘は、目の前で7万円分ぐらいの松阪牛を買って何気なく自転車のかごに放り込んでもちかえったフツーの地元のおばちゃんを、目が点状態で見送ったそうです。
この時、娘が、店頭の棚割りにおける牛肉の割合が、普段見る浜松のそれよりも圧倒的に多いことに気がつきました。
実際に、棚割りの、牛・豚・鶏・ひき肉・加工品のパーセンテージを、松阪のそのお店と浜松の自宅の御近所の肉の専門店同士で比較を行いました。こちらはお店の御主人のこだわりが結果的に棚割りに反映するでしょうから、判断において若干、客観性に欠けるものを感じますが、松阪のマックスバリューと浜松のマックスバリューの間でも、同じように棚割りのパーセンテージを調査比較しています。これはお店側で最大売上を実現すべく、統計的に商品構成を練り上げた結果であると思われるので説得力があります。我が娘ながら感心しました。
で、結論から言うと、牛肉の棚割りの比率が約2倍。松阪は牛肉食文化で、浜松は豚肉食文化であることが明確に出ています。
再び「松阪といえば、、、」です。
偉大なる国文学者である本居宣長が生まれ暮らした街、三井家発祥の地、武蔵川親方・元横綱三重の海の出身地、歌手の安部静江の出身地、、、と、知る人が聞けば、ああそうか、という街でもありますが、やはり美食の代名詞の一つでもある松坂牛が圧倒的な知名度を誇る街なわけです。
私が自己紹介の時に「松阪出身で同級生の半分はウシでした。」なんていう誰かの落語をパクッたつかみを使えるのもこの知名度のおかげです。
トップクラスのものを一つでも持っていると、それだけで社会的にも認識される。これもまさにランチェスターなのですね。
どんなセグメントでも良いですから、まず何か一つNo.1を作りましょう!
『戦略プロフェッショナル』 (日経ビジンネス人文庫) [戦略]
著者プロフィール
1967年03月 一橋大学経済学部卒業
1975年06月 スタンフォード大学 MBA
三井石油化学工業㈱(現三井化学㈱)、 ボストン・コンサルティング・グループなどを経て
1986年01月㈱三枝匡事務所 代表取締役
2001年06月㈱ミスミグループ本社取締役
2002年06月㈱ミスミ代表取締役社長・CEO
2008年10月㈱ミスミ代表取締役会長・CEO(現任)
戦略の本は概して難しく、数ページでともすれば眠くなるものも多いと思いますが、この本は一気に読み切りました。実話を元にドラマ仕立てで書かれています。
小説として読んでも十分面白いので、ついつい経営の要諦に関する部分を読み飛ばしてしまうぐらい。なので、あえてポイントを羅列しますと、、、
- 市場における自社のシェア・ポジションの認識
- プロダクト・ライフ・サイクル理論
- 成長における「シナリオ」の役割
- 良い「シナリオ」とは?
- セグメンテーション
- いま求められる戦略リーダーとは?
- 燃える集団作り
時系列で映画を見るように現状分析・戦略立案・戦略実行・成功体験と展開されてゆく中で、ランチェスター戦略発想を疑似体験できます。
(作品の中にはランチェスターのラの字も出て来ませんが、、、)
この本は、三枝匡氏の企業変革ドラマ三部作の第1部です。追って残りの2冊も紹介してゆきたいと思います。
戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 三枝 匡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2002/09
- メディア: 文庫